Osteria da K.[kappa]
シェフ 磯貝勝成
─就職した経緯について聞かせてください
運命的な出会い
親方と初めてお会いしたのは、私がイタリアから帰国して共通の知り合いに親方の店に連れて行っていただいた時でした。親方の鮨を食べて日本食のすごさに本当に感動して、その時に、店を手伝ってほしいとお誘いいただいてすぐに入社を決めました。私はイタリアンの専門で、老舗のレストランやトラットリアで働いてきたので鮨や日本料理の職人としての経験はありませんでしたが、親方について基本からご指導いただきました。まかないを任せてもらえるようになって、鮑や白身魚の、店では出せない端材の部分を使ってパスタを作ったりしていました。いい素材を無駄なく使えるし、ロスも減らせます。その後、親方が系列店としてイタリアンを始めたいということで、現在の店を担当することになりました。
─ソムリエとしての仕事について
お客様と料理人を繋げる
ソムリエの仕事というのは、お客様と料理人を繋げる役割だと思っています。当然ワインの説明をしっかりできないといけないし、お客様が要望しているワインを提供できることが大事です。一方で、少し違った角度で、こういうワインの合わせ方もあるんだという意外性のあるものをお出しすることもあります。たとえば、当店の定番メニューのウニの冷製トマトソースには、普通ウニだと白ワインを合わせがちですが、トマトが入っているので軽めの赤を合わせると美味しい、というような提案です。おすすめして喜んでいただけるとやはり嬉しいですし、料理に合わせたワインを考えることは、その時その時で発見もあって楽しいです。
─仕事のやりがいを聞かせてください
食品ロスを減らし、
質の高い食材を使った料理を提供できる
鮨よしたけの経営するイタリアンであることを知ってご来店されるお客様も多いのですが、自分としては、よしたけブランドに甘えずに仕事をしたいという気持ちもあります。コンセプトから提供するメニューまで、基本的には私の考えで自由に任せてもらっています。自由にやっている部分に対しての評価は、全部自分に返ってきますから、その点にやりがいを感じています。鮨よしたけと材料を共有していて、鮑のラグーソース、鶏肉と鮑と白身魚をミックスした魚肉ソーセージ、スミイカのゲソを使ったメニューなど、料理としても美味しく、食品ロスなしで素材を使い、お客様に提供することができます。質の高い材料を様々にアレンジしてイタリアンのメニューを考えることもおもしろいですね。
─親方・吉武正博について
圧倒的な行動力を持つ人
行動力がすごいと思います。思いついたことをすぐ行動にできる人です。食材一つでも、使ってみたいというものに出会ったら即発注するし、料理の試作をして良し悪しを追求する取り組み方もストイックで貪欲ですね。おそらく昔からされていたことだと思いますが、和食でも鮨屋でも、他の店に行って気になる食材があればすぐに詳しく聞いて、自分でも使ってみる。行動に移して、それを自分流にアレンジして深めていくんです。行動力や責めの姿勢がないと結局やらないまま終わってしまうから、そこに対する貪欲さはすごいと思います。
─鮨よしたけの職場環境について
意見を受けとめてくれる親方の存在
働く中で、親方に厳しく指導されることも当然あると思います。ただ、自分の目標があってそれを達成しようと努力している人であれば、たとえ注意を受けたとしても、なぜ注意されたのかを考えて改善していくことができるのではないでしょうか。親方は、上下関係なく意見を聞いてくださるので、正直にぶつかってくれる人の方がいいのかもしれません。仕事の内容で改善点があれば、それを指摘できて、一緒に考えてくれるような人こそ必要なんだと思います。そういう意味では、いわゆる昔ながらの大将とは少し違いますね。思ったことを発言しやすい職場でもあると思います。