女将
吉武三千代
─仕事で大切にしていること、日々の業務について
笑顔でお帰りいただけるサービスを
一番大切にしていることは、お客様に最後に笑顔で帰っていただくことです。サービスが料理の邪魔をしないように心掛けています。本格的に店で一緒に働き始めたのは親方がニューヨークから日本に帰ってきてしばらくしてからです。親方は調理、私は経理と接客やお店のセッティング、掃除などサービス側の仕事を担当しています。今では、スタッフも増え役割分担ができるようになったので、私が主に対応しているのは日常の接客と、常連さんにご挨拶したり、経営側のことになります。
─親方・吉武正博について聞かせてください
思考が柔軟だから新しいアイデアが生まれる
職人としての強いこだわりを持っていますが、一方で、わからないことは、相手が年上でも年下でも関係なく、素直に人に尋ねることができる柔軟な人だと思います。相手も出し惜しみなく教えてくれますし、お互いによい人間関係を作れる人で、その部分が魅力です。そういった柔軟性は、料理に対しても同じかもしれません。当店のスペシャリテである鮑のキモソースも親方のインスピレーションから生まれたメニューです。「あ、これいいな」と思うやり方に出会ったら、すぐに自分でやってみる。模倣ではなく、親方なりのスタイルにアレンジして自分のものにしていくんです。料理のジャンルも境界を分けずに取り入れているので、フレンチなど他の領域から調理法や道具まで学ぶこともあります。
─鮨よしたけが提供する料理
提供する品全てにこだわりがある
切った魚を載せているだけのようにも見えますが、鮨は見た目ほど簡単な食べ物ではありません。シャリは独自にブレンドした赤酢を使い、ネタの下処理から提供の仕方まで、一つ一つにきちんと仕事をしています。当店では、鮨の前に前菜をお出ししています。前菜をメニューに加えたのは親方のアイデアで、私からは必ず魚を使った前菜にしてほしいというリクエストをしました。鮨屋ですし、お客様は鮨屋に来て野菜ばかり食べたくないでしょう(笑)。最初、鮨屋で前菜を出すことに私自身は躊躇もありましたが、他のお店と同じことをしていても仕方がないですし、前菜が出る鮨屋があってもいいんじゃないかな、と思うようになりました。最終判断は親方ですが、そんなふうに2人で調整していく場合もあります。
─共に働く仲間に向けて
志と料理に対する意気込み
志の高い人に入ってきていただきたいです。料理が好きな人で、好奇心のある人。料理への研究の意気込みがある人。「どうしたらこうなるんだろう」とか、突き詰められる人とも言えるでしょうか。当店から独立して自分の店を持った職人もおりますが、皆とても勉強熱心でした。自分自身で目標を定めて突き詰められる、そういう姿勢があったから成長できたのでないかと思います。店の現場では、調理学校とは全く違うと感じられる対応もあるかもしれませんが、わからないことは丁寧に指導しています。もちろんこれまで他のお店で働いていた経験者の方も歓迎です。本店、香港店に加え、国内のホテルや海外への出店も進めておりますので、目標を共にして、一緒に働いていただける方を心からお待ちしております。